ゲームクリエイターへの憧れ
私は大学を卒業して建築の世界に飛び込んだのだが、ずっと昔から憧れていた仕事があった。
それはゲームクリエイターという仕事だ。
前述したように、物心がついた頃からゲームに触れてきて、いろんなアイデアを書き溜めてきたので、いつかそれを公開して世界中の人に遊んでもらいたいという願望が常にあった。
そんな願望を叶えてくれるツールが小学校3年生の時、任天堂から発売された。それがファミリーベーシックだった。

それは専用キーボートと専用カセットをファミコンに接続するという拡張キットなのだが、その価格は本体よりも高く、さらにゲームデータの保存はフロッピーディスクなどではなく専用のカセットテープレコーダーを買わないといけないので、子供にとってそれは相当高価なものだった。
それでも、ゲームが作れる!という衝撃は凄まじく、私はお年玉を全額はたいてこれらを購入したのだった。
そしてファミリーベーシック専門の本を片手に、試行錯誤しながらようやく出来上がったゲームは、BGMも背景も無く、ただマリオが敵を避けながら数字を集めていくというシンプルなゲームだった。それでも初めてマリオが動いた時は感動したのを覚えている。
さぁ自分のアイデアをゲームにするぞ!と息巻いてみたものの、まだ10歳にも満たない少年にはプログラムは難しすぎた。次第にゲーム作成には手をつけなくなり、あらかじめ内蔵しているゲームで遊ぶだけになった。その後拡張ソフトのV3というものも発売され、懲りずに買ってはみたもののやはり長続きはせず、ああやっぱりゲームを作るのって難しいんだ・・・という挫折が、少年の心に深く刻まれることになった。
それから30年近くたち、40歳にもなろうかというおっさんになって、再びゲームを作ってみたいと思い立ったのはゲームを作ることの敷居が大幅に下がったからだ。
今はUNITYやUE4などのゲーム作成ツールなどが無料で手に入れることができ、作ったゲームを世界中に配布することができる。つまり時間と知識さえあればほぼ0円でゲーム作成ができるのだ。本当に素晴らしい世の中になったと思う。
自分がもし小学生の時に触れたのがファミリーベーシックではなくUNITYだったら、きっと進路も変わっていたかもなぁ。
でもゲームとは全く関係ない世界で築いてきた経験が生かされてる時もあるので、こうして生きている間にゲームが作りやすい世の中になっただけでも感謝感激なのです。